Mark Karpelès(マルク カルプレス)氏インタビュー【後半】

2018年2月7日、Mt. Gox(マウント・ゴックス)元 CEO、マルク・カルプレス氏にインタビューを行いました。前半に続き、後半をご覧ください。

先行して公開していた動画はこちらです。

藤本
マウントゴックスのビットコイン消失で、債権者に対する払い戻しの現状はどうなっていますか?

カルプレス
払い戻しは破産事案の方になります。形式上は自分がマウントゴックスの代表者になっていますが、破産業務は全て管財人が行っていて、こちらからは口出しができないです。管財人と裁判所が法律に基づいて行っている手続きです。こちらから払い戻しがどうなっているかはあまり…。
債権者の一部から民事再生の申し立てがありました。もしそれがうまくいって、債権者への払い戻しをビットコインでできるかもしれないですが、保証はできない状況です。

藤本
3つの債権者グループがあるんですね。

カルプレス
今、1番大きいのはマウントゴックスリーガルですね。コリンは数カ月前にマウントゴックスリーガルの方々とちょっと揉め事があったようで、最近はあまり目立たないようにしている感じです。もう1つの弁護士団はあまり聞いたことがないです。ちょっと何とも言えないです。

藤本
マルクはここに関わるというよりも遠くから見ている感じでしょうか。

カルプレス
今のビットコインの価値が上がっている状況で、通常だったら、債権者が申し立てをした債権額を全額払えば、破産者の支払い義務は全部終わります。通常の場合、それでお金が残っていれば株主にいきます。そういうことになります。

藤本
この前YouTubeでマルクに「お金持ちになるんじゃないの?」という話をしました。株主なのでお金持ちになるんですか?

カルプレス
自分は直接的な株主ではないです。それと、そもそも自分の気持ちの話ですが、債権者に不公平なので、何とかしたいと思っています。自分も最初、マウントゴックスの破産の前は民事再生でやろうとしていました。それを債権者の申し立て、圧力によって裁判所が破産にするという判断をしました。そして今は破産をもう1度民事再生にしようとしています。自分は最初からそうしようとしていたのですが(笑)。

藤本
そうだったんですね(笑)

カルプレス
ビットコインの価値が上がって、民事再生の現実味が出てきました。ちょっと難しいところもありますが、債権者から民事再生の申し立てがなくてもこちらでやっていたでしょう。そこまでは今、言えます。

藤本
マルクの口からそれを聞けて良かったです。私は以前、1回会って話したことはありましたが、どう考えているのか分からなかったので。マルクがメチャクチャお金持ちになったらどうする気なんだろうと。そのお金を良いことに使えば、すごくヒーローになれるよって提案しようと思っていました。
マルクがこのマウントゴックス事件において、1番優先的にやらないといけないと思っているのはそういうところですか?

カルプレス
マウントゴックスの破産手続きに関してはもちろんそうですね。犯人は逮捕されましたが、ビットコインが戻っていないので。今はギリシャにいてアメリカに移送できるかどうか分からない状況です。おそらくアメリカに移送して、調査して、ビニック(犯人)が持っていた資産があれば、アメリカの捜査当局で解明されます。おそらくそこからは管財人が「返してください」という手続きをすると思います。まだ先の話ですね。

藤本
元々コールドウォレットにあった20万ビットコインの他に、犯人が持っているものも返してもらわないといけないですね。

カルプレス
もしまだあればですが。分からないところも多いですが、そこは大事なところだと思っています。

藤本
WizSec(ウィズセック)とは何かから説明して頂けますか?

カルプレス
WizSecはセキュリティ会社です。ただ直接は関わっていないです。

藤本
WizSecはブロックチェーン解析等で、盗難にあったビットコインの行方に関する情報を出しているところですね。

カルプレス
WizSecが出しているブログがあって、そこに解析結果などが載っています。それを見れば、特にビニックの逮捕の後の追跡について、かなり細かく書いてあります。どうすればビニックの名前まで辿り着いたかも載っています。

藤本
今後はどういう展開が期待できますか?

カルプレス
捜査がどうなるかはちょっと分からないです。とりあえず、捜査よりは破産の話の方が大事かなという気がします。捜査は今の段階で何かがあったとしても、関係者は話せないと思います。ビニックの件もそうでした。例えば、「ビニックという人を逮捕しようと思っているけれど、ロシアにいるから逮捕できない」と言っていたら、彼がロシアから出なくなってしまったはずです。

藤本
確かに気付かれたら出ないですよね。今回ロシアから出た時は「気付いていない。しめしめ」と思って待ち構えていたんでしょうね。

カルプレス
捜査のこれからについては言うべきではないですし、聞きたくても答えは期待できないと思います。ただ1つ言えるのは、アメリカが出しているビニックの逮捕状の一部は黒塗りになっていて、これから解明される部分があるかもしれないということです。協力者がいるとか、マネーロンダリングに使っていた会社があるかもしれないということです。

藤本
結構な金額ですよね。マネーロンダリングに4千億円以上と単位がすごいので頭がおかしくなりそうです。

カルプレス
債権者が届け出て、管財人が認めている債権額は合わせて450億円くらいなので少なくはないです。ただマウントゴックスが持っている20万ビットコインに比べたら、そのビットコインの価値が大きくなっているので。ビットコインだけではなく、ビットコインキャッシュなども含めて。最近ビットコインの値段が下がっていて、みんな結構心配していますが、ビットコインキャシュだけでも、思っているよりマウントゴックスの手続きの中で余裕があります。
ビットコインが3千ドルになったらマウントゴックスの債権者に返せなくなるという心配がありますが、ビットコインとビットコインキャッシュの値段を合わせて、3千ドルになればという話です。多分、ビットコインが2千500ドルになって、ビットコインキャッシュまだ千ドルのままだったら3千500ドルですが…。

藤本
まだ余裕がありますか?

カルプレス
余裕があるというわけではないですが(笑)。

藤本
確かにビットコインキャッシュも合わせたらありますね。2017年12月の記事で、「ブルガリアの警察が5月時点で20万枚のビットコインを所有している」という内容のものがありましたが、これはマウントゴックスの盗難に関係しているのでしょうか?

カルプレス
今回のビットコインの話はマウントゴックスとは無関係だと思います。このニュースをあまり確認していないですし、ブルガリア政府からビットコインはないという話もありました。ビットコインがあって、向こうのミスでなくなったのか、元々なかったのか、そういうところも不確かなので。ブルガリア政府しか知らないかもしれません。少なくとも自分の知っている範囲では、関係はないと思います。

藤本
ピータービジネスに対して言いたいことはありますか?マウントゴックスの裁判を変な要求で長引かせている人ですか?

カルプレス
言いたいことは1つだけ。もういい加減止めてください(笑)。

藤本
どういう因縁があるんですか?何をされているんですか?

カルプレス
2012年辺りにマウントゴックスがアメリカで事業として取引所をするためには許可が必要ということが明らかになりました。許可を取る手続きなどがかなり複雑でした。そしてアメリカにいないとできないことも結構多いので、CoinLab(コインラボ)から「マウントゴックスを買います」という話がありました。わけの分からないことでしたが、それよりもマウントゴックスのアメリカ事業だけでもやってくれれば結構助かるという話になり、CoinLabもそれでいいという話になりました。そして色々話し合いをして、半年くらいかかりましたが、契約書ができました。その契約書では、北アメリカのアメリカ、カナダの顧客の代理店としてやってもらうことにして、その代わり手数料の一部を支払いますということでやっていこうと。その代わりに、CoinLabがアメリカの規制、法律に基づいてしっかりやりましょうという話でした。しかし結局、CoinLabは何もせず、登録もしていないです。ただやったのはマウントゴックスの1番大きい顧客数名に直接話し合いをして、「いつも日本にお金を送るのは大変だからうちに送ってくれれば同じです」と言って、何億円も集めました。
テストでCoinLabがマウントゴックスのシステム上の入金記録を作ることができていたので、アメリカの顧客からお金を預かって、マウントゴックスのデータベース上で、その額の記録を作ったりしていました。合わせて12億円分くらいのドル建ての入金を扱っていて、まだスタートもしていませんでした。そのお金の払い戻しに応じないといけないところもあるので「そのお金をください」と言いました。7億円分くらいは送ってくれましたが、5億円分くらいはそのままで。スタートの時期になって1回も登録していないことも分かって、もうやっていけないということが分かったので、「いつ登録するのか明確にしてください」と言ったら、結局アメリカで訴えられました。それに対してはカウンタークレームをしました。法律的な手続きの中でカウンターをしたということです。こっちからも訴えますと。

藤本
そういうところでも…。マルク、色々と大変だね…。

カルプレス
CoinLabの方は結局、マウントゴックスのためにちゃんと登録もしていないです。サイトを作る話も何もしていないです。ブランドを使ったというところだけですが、CoinLabのブランドはほぼないとも言えるので、ほぼ何もやっていないにも関わらず、マウントゴックスから支払いで何千ビットコイン、何百万円分を受け取って、さらにお客様から5億円を受け取って、さらに88億円くらいを要求しています。

藤本
そっちも色々大変ですね…。そして今ふと気付いたのですが、こんなに日本語うまかったですか?

カルプレス
おそらく最近は法律関係の日本語を、プロフェッショナルとはまだ言えないですが、毎日使っているので。

藤本
1番かわいそうな記者会見の時には日本語が片言でしたね。

カルプレス
あの時は緊張しすぎて、最初に決まっていたことしか言えませんでした。「申し訳ありませんでした」と何度も練習していましたが、みんなが写真を撮ったりしていて・・・。

藤本
あのシャッターは怖いですよね。

カルプレス
かなり緊張して、うまく言えませんでした。

藤本
色々そうやって大変だったわけですが、今年はYouTuberになりたいと言っていました。ビットコインとアキバ系の内容、両方ともするんですか?

カルプレス
今回はTwitterでアンケートをして意見を頂いたので、そういう割合でいこうかなと思っています。

藤本
仮想通貨でコラボレーションできることがあったらぜひ。

カルプレス
よろしくお願いします。

藤本
なぜ一緒にやりたかったかと言うと、「僕の経験を聞きに来てくれたら教えられたのに」とマルクが言っていました。当事者で1番大変な思いもしてきている人だから。みんなのリテラシーの部分を底上げしていかないとダメだと思っています。

カルプレス
ビットコインに関するリテラシーはほぼ全部英語になっていて、日本ではあまり出てきていないです。そしてもう1つ、マウントゴックスのようなことは2度と起きないようにしたかったです。少なくともセキュリティ対策で、マウントゴックスも結構頑張ってやってきました。色々なセキュリティ基準も見て、「これは止めた方がいい。ここはこうした方がいい」と。具体的なことを話すと時間がかかるので、今回は簡単なことしか言わないことにしますが。実際にビニックの関係しているビットコイン喪失事件は、2011年くらいにサーバーに入り込んで、プライベートキーとかを取って、それを使ったんだろうというのが今の調査結果です。そうすると、2012年、2013年、2014年の間は2014年2月を除いてマウントゴックスはハッキングの攻撃には耐えられたということになります。
セキュリティ対策は常に変わるものです。

藤本
その辺りもマルクが言ってくれると影響力がものすごくあると思うので、発信を続けてもらいたいです。
それと、業界全体を盛り上げたいと思っています。エンジニアが足りないので、プレスリリースも出したのですが、ビットコインとブロックチェーン業界に特化した人材紹介の会社を新しく作りました。ビットフライヤーなど14社がスポンサーに入ってくれて、合同説明会をやるんです。そこでエンジニアの育成をやっていくので、その辺りもマルクに相談できたらと思っています。

カルプレス
できるところがあったら、ぜひ協力させて頂きます。

藤本
今日はありがとうございました。

カルプレス
ありがとうございました。

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