GMOのビットコインマイニング事業参入についての記者会見全容

GMOインターネット株式会社が9月13日、仮想通貨の採掘(ビットコインマイニング)事業に関する説明会を行った。7日付でビットコインマイニング事業への参入については発表されており、同社代表取締役会長兼社長で同社グループ代表の熊谷正寿氏の会見に注目が集まっていた。

熊谷氏は8日のブログで、「現在既に展開している、インターネット証券、FX、決済、ビットコイン売買、来年開業予定のネット銀行。これらのインターネット金融事業と結びつけ、安くて、早くて、便利、そして安心出来るサービスを提供します」と書き、グループ全体のシナジーを活かす方針を示していた。

熊谷氏は会見の冒頭、「インターネットの発展は、特に情報化の面で世界をフラット化した。そして昨今、あらゆる人やものの価値がデジタル化された通貨、つまり仮想通貨に置き換わり、世界共通の通貨として流通し、国境のない経済圏を作り出そうとしている。いわば仮想通貨は新しい経済のインフラと言える。今後、情報化による世界のフラット化が進んでいったように、仮想通貨によって世界共通の経済圏が発展していく中で、それを押し進める事業の1つであるマイニングに日本の企業として参画する意義は非常に大きいと考えている」と今回のマイニング事業参入への意欲を語った。

熊谷氏はマイニング事業の問題点を地球温暖化にマイナスであることを挙げ、その解決をしながら事業に取り組むと明言。解決方法として挙げたのは、次の2つだ。

  1. 低電力で動くマイニング用の最先端半導体チップ
  2. 再生可能エネルギーを利用可能な地域である北欧で展開

また、財閥系企業が過去、金や銀を採掘し、それを原資に多角経営を進め、現在の母体を作ったことやアメリカのゴールドラッシュでリーバイスが発展したことを紹介。それらになぞらえて、自らがマイニングを行うこととクラウドマイニングサービスの提供、マイニングボードの販売を行うことの意義を強調した。

堀内敏明氏(常務取締役CTO、次世代システム研究室室長)からは、数万台のサーバーの管理・運用事業をしてきたこと、それに関連するネットワーク、セキュリティについてもやってきたこと、FXでビッグデータを解析してきたこと、人工知能の解析もスタートさせてきたことなどの説明があった。自社でこのように開発運用している経験を持っている会社は世界的に見てもあまりなく、マイニング事業にも優位性があると考えているという。

奥村真史氏(マイニング事業責任者)によると、マイニング事業には以下の3つのポイントがあるという。

  1. いかに高性能な大量の計算機を使えるか
  2. どれだけ消費電力を少なくできるか。
  3. 電気代をいかに安価に調達できるか。

消費電力は従来製品の1150Wを500W以下にし、56%以上削減可能だということだ。

自社マイニングの時期は2018年上半期を予定しており、クラウドマイニングは時期未定だ。クラウドマイニングは、自社でマイニングの経験を十分に積み、安定稼働および十分なパフォーマンスを確認してから一般向けにサービス提供をするという流れを考えているという。GMOマイニングプール(仮称)との組み合わせにより、少ない契約の人でも安定した収益を提供できるようにするとのことだ。

気になるボード販売の時期と価格は未定とのこと。価格については競合の動向も見ながら決めるという。1枚、2枚といった購入枚数でも、マイニングプールとの組み合わせで安定収入を確保する方針だ。

熊谷氏は、マイニングチップの開発製造は国内ではあるが、「エクスクルーシブな契約で守秘義務がある」とし、7nmチップの製造についても「守秘義務があるが、世界で7nmを作れる会社は3社くらいしかないがそのうちの1社」と具体的な社名は明かさなかった。

また熊谷氏は「マイニング事業については新参者なので、Bitmainやコミュニティの皆様からは学ばせて頂きながらやっていく。どうやって打ち負かすなんて、大それたことは言えないという心境。7nmは商用チップでは世界で最初になる可能性もあると思っている。スピードが優位性になる」と述べ、自信をみせた。

ビットコインのコミュニティについては、「新参者なのでまず学ばせていただきたい。発言力と持ちたいというのではなく、仮想通貨業界の成長、マイニング業界の発展にシンプルに貢献したい。インターネット業界でもコミュニティがあり、業界の発展に貢献していた。そうしてきたからGMOという今の会社がある」と述べ、謙虚な姿勢を示した。

クラウドマイニングを始めた意義については、「世界最大手のクラウドマイニングのジェネシスマイニングで自分自身のビットコインを投資してクラウドマイニングをやっている」と自身の経験を明かし、「ビットコイン、仮想通貨は非中央集権であること。世界中の方がこの仮想通貨の産業を支えていくことに意義があるという設計思想がある。クラウドマイニングのサービスは、その設計思想に資するものだと思っている。私共が開発したチップを使ったクラウドマイニングを提供することで、世界中どなたでもビットコインをお持ちの方はマイニングで運用ができる」と語った。

そのマイニングを行う場所については、「データセンターの場所は世界中を研究しつくした。場所そのものが競争力なので内緒にさせていただきたい」と明言を避けたが、「データセンターは日本の電気代の約1/3で運用する」と数字を出した。

ビットコインの半減期への対策については、「低コストで運用すること。マイニング事業は業態としてシンプルで、パラメーターが少ないので、1番低コストで運用することで1番最期まで生き残れる。この事業のリスクは、仮想通貨が世界中で禁止になって、1つもなくなってしまうということ。1番低コストで行うことで、半減期はむしろチャンスだと思っている」と述べ、コストを抑えることが勝負を決めるとの見方を示した。

参入のタイミングについては「2年前から研究していた。マイニング事業に関しては慎重に勉強し検討し、今がタイミングとしていいと思った。理由は最適な場所が見つかったことと、ボード開発にメドがついたこと」と述べ、「非常にシンプルな業界なので、データセンターに向いた場所とチップが揃えば、勝負に負けはないと思っている」との見方を示した。

熊谷氏は今回の参入の判断について、「事業家としての勘だが、インターネットに出会った時に非常にワクワクした。同じワクワク感を仮想通貨業界に感じている。インターネットは世界を変えた。仮想通貨も世界を変えると思う。既視感を感じている。仮想通貨に関与している人たちの盛り上がり方や広がり方にインターネットの初期と同じものを感じる。強い国にとって仮想通貨は邪魔になるかもしれないが、便利だと思っている人が多い。多少逆風が吹こうが、全然問題ないと思っている」と述べ、自信をみせた。

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