世界最大の仮想通貨マイニング現場からのレポート

2017年7月11日、「Tokyo Blockchain – Inspire vol.05」が東京都港区で開催された。この日のテーマは仮想通貨の「マイニング」だ。アイスランドとモンゴルでマイニングを行っている会社の訪問レポートを聞けるとあって、会場となった株式会社FIXER東京本社には70名ほどの参加者が詰めかけた。

日本で仮想通貨、ブロックチェーンにある程度関わっていても、実際にマイニングの現場を訪れたことがあるのはごく少数。参加者に話を聞いてみたところ、「仮想通貨に興味があり、マイニングという仕組みを知った。ネットで調べてもなかなかイメージがわかないので、実際に行ったことのある人の話を聞いてみたかった」「マイニングというと詐欺まがいのものが多いので、きちんとしている会社があるのか知りたかった」といった声が聞かれた。

ゲストスピーカー

宍戸健(ししどけん)氏
東京ビットコイン会議(ビットコイン普及ボランティア団体。会員約1500名)2013年からオーガナイザー。ビットコインインベスター。分散型ビットコイン取引所プロジェクトBitsquare PR。現在イタリアミラノ拠点にヨーロッパで普及活動中。

古酒慎也(ふるさけしんや)氏
セブンバニーズ株式会社 代表取締役
2013年3月にiOSアプリケーションを開発することを目的としたセブンバニーズ株式会社を設立、2015年1月にビットコインと出会い仮想通貨の世界へ。仮想通貨を自動売買するプログラムの開発やマイニングリグの製作を得意とする。

分かる人には分かる!?イベント開始前のクローズトーク

古酒氏が「GPUマイニングをする計画はあるか?」とBitmainのCEOに単刀直入に聞いたところ、「最近、NVIDIAチップを大量に買った」という答えだったという。

篠原氏は古酒氏の話を受けて、「マイニングとはコンピューターを使って仮想通貨を発行する、作る作業のこと」と解説する。仮想通貨を作るには、精度の高い計算をしなければならない。そのため、普通のパソコンに入っているCPUではなく、より高度な計算をするためコンピューターグラフィックを描くのに使うGPUが必要となる。GPUの需要は頭打ちになると予想されていたが、AI、VR、AR、そして仮想通貨のマイニングのための需要が急速に高まり、各分野でGPUの争奪戦が起こっているのだという。

古酒氏は「GPUを買ったと言わなかったのがポイント。チップを買ったと」と話す。

篠原氏は「半導体には色々な種類がある。特定の目的に合わせたのがASIC。仮想通貨を作るためのチップとか、VRのため、機械学習のためのチップ。例えるなら、GPUというのは普通の乗用車。ASICはF1カー。だから普通の道路を走ったらダメ。じゃあなぜ効率の良いASICチップだけで仮想通貨を掘らないのか。その理由は、半導体を作るのには2年くらいかかるし、テストモデルを作るのに10億円くらいかかる。特許料を払ったり、製造ラインを止めたりする。数年後にどんな仮想通貨をマイニングするのが最適かを見越してチップを作らないといけないし、ビットコインの仕様が変わると言われたら困る。例えば、フェラーリが2年後のF1でチャンピオンになるためにエンジンを開発していたところに、『電気自動車でレースをすることになりました』と言われたようなもの。『すごい時間と費用をかけてエンジンを作ったのに、ちょっと待ってくれ』と。電気自動車になったらエンジンがいらなくなるから反対だと。ASICにすると、急な仕様変更に対応できなかったり、費用や時間がかかるので、先を見越さないといけない。リスクがあるから、ある程度の規模も持っていないとできないし、普通の人が簡単に買えない。つまり、GPUを使うということは、より幅広い仮想通貨に対応できたり、仕様変更に柔軟に対応できる、という意図が見え隠れする」と解説する。

篠原氏は会場から出たICOに関する質問に対し、「クラウドファンディングとICOで決定的に違うのは、コインを新しく作っているかどうか。コインが決済に使われる通貨という意味で捉えると狭いが、トークンと呼ばれるもので考えるともっと広い意味になる。つまり株式やサービスの利用権利を流動化したもの。通貨と言うからややこしいが、債権とか株式と同じように思ってもらえれば、流動化できて、分割もできて、記録も残るため詐欺も難しく、嘘がつけないというのがポイント。自社で発行した通貨を取引所で他の通貨と交換できるようにするか。なので、ビットコインでICOをするというのはちょっと意味が違う。その場合はクラウドファンディング。藤本氏のKIZUNAは、ビットコインで支援先に資金を集めているのでクラウドファンディング。一方で、アフリカの子ども達がアフリカの地域通貨を作るというのがICO。ケニアでしか使えない通貨を発行するので出資してください、というのがICO」と答えた。

藤本氏は「最近はICOの認知も広がってきた。今日のテーマのマイニングについて聞かれることも増えてきた。ビットコインのマイニングは非効率だと思っていたが、やっている人が結構いた。今日のイベントに集まっている人数を見ても、マイニングもホットなトピックだということ実感した」と笑顔を見せた。

あなたのビットコインもアイスランドで掘られた? 篠原氏による「Genesis Mining」訪問レポート

「Tokyo Blockchain」の主催者である篠原裕幸氏、藤本真衣氏は、6月20日にアイスランドにある「Genesis Mining(ジェネシスマイニング)」を訪問した。

篠原氏は「ブレーキがないので、適切な所で止めて欲しい」と断りつつ、報告をスタート。

「Genesis Miningはアイスランドにある。比率はあえて言えないが、かなりの仮想通貨、オルトコインも含めて、このGenesis Miningのあるアイスランドの地から生まれている。そのファウンダーがドイツのマルコという人。2年ほど前に僕がシンガポールにいた時、ここにいる健さん(宍戸氏)に、『マルコがシンガポールにいるよ』と言われて、紹介されて飲んだ。当時、Genesis Miningのことはもちろん知っていたが、ファウンダーの名前は知らなかったので、『マルコって誰?』と思いながら楽しく飲んで騒いで、帰り際にGenesis Miningの人だと聞いて、えーっとなった。彼とは友人関係から始まった。その後、日本でも本格的に広めたらどうかという話になって、1回現地(アイスランド)に見に行くということになった」

篠原氏によると、仮想通貨のマイニングは、詐欺が非常に多いのだという。そしてやっかいなのが、詐欺と立証しにくいことだ。「お金を預かって、それで仮想通貨を作ると言って逃げる、というのはまだかわいい方だ。預けたお金を次の人に渡していくという、いわゆるポンジ・スキームをしている場合もある。どんどん配当が払われている気がするが、実際はただただお金が右から左に動いているだけというパターンが結構多いのだという。

「そうならないように、実際にマイニングをしている所を見て、『機械があったよ』というのは、超大事なこと。実際にはマイニングをやっておらず、そういうことを言えない所がほとんど。この会社は、実際にあるので、『見に来て欲しい。日本の人にも伝えて欲しい』という希望があった」

「実際に見て思ったこととしては、マシン自体が特別なわけではないということ。僕もマイニングを中国でやっているが、マシン構成は大きくは変わらない。違うのは『数の暴力』がすごい。牛舎のような所にドーンと並んでいて、これが何個も並んでいる」

「そしてなぜ、ファウンダー、ヘッドクォーターはドイツなのに、アイスランドでやっているのか。まず、世界トップクラスでアイスランドの電気代が安い。なぜかというと、火山大国なので、地熱発電でクリーンなエネルギーを使って電気が作れる。もう1つが、めっちゃ寒い。つまりクーラーがいらない。空冷で電力を使ってしまうということが最も本末転倒。GPUはものすごく熱くなるので、それを冷却することが重要だ。僕が行ったのが6月で、向こうは夏だが日本の3月くらいの気候なので、ユニクロのウルトラスリムダウンジャケットを着ていなかったら死んでいたと思う(笑)」

「マシンを冷却するために普通はエアコンを使うが、空冷でやっている。どうやっているのかというと、巨大なパソコンの中、あるいは巨大な掃除機の中にいることをイメージして欲しい。屋根にでっかい換気扇がついていて、そこで空気を吸い上げている。壁にあたる部分にはフィルターしかない。そこから空気が入ってくる。クッションみたいなモコモコしたものがいっぱいある」

「以前、クラウドホスティングの会社をやっていたので分かるが、日本だとこのような仕組みは現実的に無理だ。なぜなら、空気が汚すぎる。日本海側で実験されたことがあるが、中国から入ってくる空気が汚すぎて、フィルターの交換コストがめっちゃ高い。結局、日本では冷房した方が安い。北海道では空冷でも何とかやっていけるという所があるとは聞いている」

「日本ではkwあたり26円前後で電気を買っていると思うが、それでGPUを動かして、マイニングするコインを間違えなければ、利益を出すことはできる。ただ、エアコンを動かす電気代まで考えると難しいというのが、日本のマイニングの現状だ」

「動画を撮ってきたが、ものすごい音がする。会話をしても、全く聞こえない状況だった。1日ここにいたら鼓膜が傷つくらしいので、全員耳栓をもらう。このすごい轟音の中作業をしている。轟音がする理由は、上でファンが回っているから。試しにダンボールの切れ端を投げてみたら、見事に吸い込まれていって、チリになった」

「マイニングはあやしいと言われているが、ファウンダーのマルコが日本に来た時に、なぜやり始めたのか、どういう経緯で始めたのかをインタビューした。ブログで近日中にアップする予定だが、『学生時代に寮の一室でマイニングをしてみたら掘れた』『熱くなり過ぎたから、窓の外に放り出して寝ていた』と。やっているうちに世界のある一定の量をマイニングするようになった。もし仮想通貨が資産として認定されたら、フォーブスのランキングに彼の名前が出てくると思う。わずか3年でそのくらいの仮想通貨を生み出す会社になった」

「直近のユーザーの伸び率も聞いているが、半年間の伸び率が半端ない。カスタマーサポートが追いつかないくらい伸びている。マシンを入れても入れても追いつかない。僕らが行っている間にも、でっかいトラックがすごい量のGPUを入れていた。隣にも新しい建物を建てていた」

「最近Dashという通貨のマイニングの受付が再開された。今ではZcashとか、Dash、Monero、Ethereum、もちろんビットコインもマイニングできる。ユーザーは、クレジットカードなどでマシンのパワーを買って、ポートフォリオを組める。ちなみにこれは、投資ではなく、マイニングのハッシュパワーを買う、という言い方をする。投資ではなく、マイニングのハッシュパワーを買って、仮想通貨を作る、購入する。計算能力の一部を買う。アマゾンでサーバーを契約するのと似たような話。どの仮想通貨にするかは、管理画面で選べる」

「新しい通貨と言っても、欲しい人、やりたい人が多すぎて売り切れになっている。しかし、最近Dashのマイニングが再開されて(2017年7月11日時点)、買えるようになったので案内してほしいと頼まれた。missbitcoin(藤本氏のこと)と言ったら、3%オフにしてあげるよ、と言われたので、『えっ、俺のこと無視』と思って(笑)。僕もGenesis Miningの日本展開は応援していて、協力していきたいと思う」

モンゴルでもビットコインが掘られている!? 宍戸氏、古酒氏、藤本氏による「Bitmain」訪問レポート

2016年9月末からヨーロッパを訪れ、滞在している宍戸氏は自らを「日本のビットコインコミュニティでは、最も過激な、武闘派な、先進的な思想を持っている」と語る。宍戸氏は「東京ビットコイン会議」のオーガナイザーだ。

宍戸氏はBitmainに行くことになったきっかけについて、「ブロックサイズの議論が紛糾していて、8月1日にビットコインが2つに分かれるかも、となっている。取引所が分かれると勘違いしている人もいるようだが、そういうことはない(笑)。Bitmainはマイニングの会社としては、世界最大だ。マイニング自体とマイニングをする機器を作っていて、世界シェアの7割を持っている。従業員が約800人いて、ビットコイン界では最大手の会社だ。そういう状況なので、日本の関係者の方々と1回行ってみようとなって、20人くらいで訪れた」と話す。

天候の関係で内モンゴルのマイニングの現場に辿り着けなかった人もいたそうだ。

藤本氏はオフィスの様子を紹介。「オフィスは2階建てできれい。世界で800人くらいの従業員がいるそうだが、オフィスにもたくさんの人がいた」

「アントプールが19%、子会社が6%なので25%。つまり、毎日マイニングされるビットコインの4分の1をBitmainが採掘している」

「彼らはアントマイナーという(マイニングをする)機器を開発、製造、販売している。Genesis Miningにも販売している。現在10カ所あるのをさらに10カ所増やすと言っていた」

宍戸氏はビットコインのマイニング、維持のためにアマゾンやグーグルを合わせても足元にも及ばないような膨大な計算が行われている実態を紹介し、さらに金の採掘の歴史とも比較しながら、ビットコインの価値について語った。ナカモトサトシはビットコインのマイニングについても触れていて、最初はPCで始まり、専用のマイニングファームが専門のマシンを使って行うようになると示唆していたという。

さらに宍戸氏は「マイニングは専門の所に任せて、我々は応用について考えていくべき」との持論を展開した。

宍戸氏が紹介した情報は、「blockchain.info」にてリアルタイムで確認できる。ナカモトサトシのホワイトペーパーは日本語訳もあるので合わせてチェックしておきたい。

世界最大のマイニングファームは水で冷やしている!?古酒氏によるBitmain報告

古酒氏は「漢字で書くと『古い酒』だが実家は残念ながら酒屋ではない」と会場を盛り上げつつ、報告をスタート。

「会社はiPhoneのアプリを作ることも目的に始めたが、最近はビットコインの魅力に取りつかれて、自動売買なんかをやっている」

古酒氏は内モンゴルの内情を写真つきで詳細に紹介。途中、篠原氏からの「ホンマにBitmain見たんですか?」のツッコミで本題に突入した。

「Bitmainの(マイニング)ファームの1号棟。長さが150mで、幅が15mくらい。高さが4mから5mくらいで、これが10個並んでいた」

古酒氏は「データセンターというよりは倉庫、牛舎のような印象。青いシートのようなものがフィルター。外気を取り込んでいる。雰囲気的には電気ヒーターの後ろについているファンみたいな」と最初の印象を語った。

「本棚みたいな所にASICが並んでいる。冷たい空気と温かい空気が混ざらないように2分割されている」

「これ(フィルター)、金属製に見えるが、これは紙で、それでこれを上から水道水で濡らす。濡れた紙を空気が通って、気化熱で熱を奪って涼しくすると。テーマパークなんかで霧を出していたりするが、それと同じで気化熱を利用して暑いモンゴルでも涼しい環境を作り出している」

「GPUがロールケーキのように、横並びになっていて、縦に積んである。これはビットコインとライトコインを掘れるやつだ。ライトコインを掘るものが、このファームでは4500台、残りの7工場がビットコイン専用になっていて、1棟あたり3000台。それが7棟あるので21000台。電源の総容量が40000kw」

古酒氏は他にも、現地で撮影した電気メーターや電圧計、アナログの温度計など現地に行かなければ分からない貴重な写真を公開してくれた。温度計は涼しいエリアが30℃を切るくらいになっていて、元の40℃くらいの空気を冷却しているのが分かったという。

Genesis Miningでは、一定以上の温度になると自動的にシャットダウンしたり、ファンが高速回転するなど自動化されていて、温度が閾値を超えると人がとんでくるという体制になっていたというが、Bitmainはもう少し簡易的な仕組みを用いているようだ。

古酒氏はその点について、「かっこいいサーバールームとこういう原始的なやつとどっちがいいのかはなかなか判断がつかない。答えを見つけたい」と話した。今回のファームは比較的古いもので、新しいものはまた仕様が違うという。紙のフィルターが濡れていない部分があって、その辺りはざっくりと作られているのだという。乾いている所はやはり温度が高くなっているようだ。

マイニングファーム訪問の翌日には、北京の本社を訪れた。テックパークにあり、建物の外観はオシャレな感じだ。受付には「ANTMINER」の様々な機種が並んでいる。

「S2、S4は旧世代のサンプルだ。書かれている数字をみると、効率が上がっているのが分かる。将来的にはもっと効率的なチップが予定されているようで、どうやら2世代予定されているようだ」

質疑応答

質問:「日本でマイニングを行った場合の費用対効果は?」

古酒氏:「6月の頭までという意味では、ビットコインが値上がりしていたので利益率がよかった。日本の電気代でも採算があった。GPUマイニングの情報がシェアされて、機械いじりが好きな人が始めて、日本でも火がついた。秋葉原やアマゾンで見ると分かるが、(GPUを手に入れようとすると)1カ月、2カ月待ちになっている」

質問:「マイニングにはどうやって携わればいいのか?」

古酒氏:「まずは自分のパソコンにGPUを挿して、マイニングをするのが最初。大規模化するならば、倉庫を借りる。数字だけでいいよ、ということであれば、クラウドマイニング」

質問:「中国のマイナーは中央政府に対して、どのような関係性か?政治的な部分はどうやってクリアしているのか?」

古酒氏:「まさに同じような質問をしてきた。Bitmainのジハン氏は、『まず我々は製造業である。マイニングもやっているが、別にやましいことをやっているわけではない。政府とはうまくやっている』と言っていた」

質問:「中国とアイスランドのマイニングは環境が全く違う。どのような違いを感じたか?」

古酒氏:「中国の方だけ話をさせてもらう。ASICは毎日壊れる。寿命は伸びているが、やはり壊れる。壊れたものは修理するそうだ。そしてまたそれを戻すと。そういうオペレーションをするスタッフが60人から80人いる」

篠原氏:「グーグルもそうだが、マシンの台数が多くなると、故障率が低くなっても、常に故障は発生する。だから日々のオペレーションが非常に重要。中国の場合は、人件費が安く、部品もその場で、国内で買える。GPUなど大きな部品は国をまたぐと関税があったり、武器輸入の法律などで送れない国もあったりする。まとめると、中国は人件費の安さと部品の購入がしやすいのがポイント」
「(アイスランドの)工場のメンバーとは後で飲みにも行ったが、普通のテック系のエンジニアと全く変わらない。みんなものすごくマイニングに詳しいし、何をやっているのか分からずにやらされているのではない。人数もそんなにたくさんいるわけではない。何かあってアラームが鳴ったらとんでくるというチーム」

藤本氏:「私も寒い所じゃないとできないと思っていたので、あんなに暑そうな所でもできるんだな、と素直にびっくりした。古酒さんの説明通り、冷却をうまくしているんだな、とは思った。Genesis Miningは全部システム化されていて、温度計もつながっていた。だからBitmainの温度計の写真を見た時に、こういう温度計なの!?という驚きはあった」

質問:「S9を買ってマイニングする予定だが、日本は電気代が割に合わない。韓国かアメリカのクラウドマイニングのマイニング施設に置いてもらおうと考えている。元を取るには、どのような運用方法があるか教えて欲しい」

古酒氏:「日本でも時間をかければ元を取れるかもしれないが、大事なのは回収期間。日本は地の利がないから、電気代の安い、寒い所に行こうという発想になると思う。さっき紹介した人はマイニングの場所貸しをやっている。彼は中国とその周辺でやっている」

篠原氏:「僕もマイニング関係は色々やっているが、場所貸しはビジネスとして結構流行っている。マイニングファームをやっていて、(GPUなどの)入荷が追いつかないから先に建物ができている。1台あたり何円というコストで置いてもらうというは確かにある。日本だとkwあたり26円くらいなのが、中国だと4円くらい。アイスランドも3円とか5円。そういう所で場所貸しをしているところもある。問題は、中国にマシンを送ると、実際に経験があるが、すごい関税がかかる。没収されたり、なくなったり、送れないと言われたりする。じゃあ送ったら安心なのか。マシンを持っていかれる可能性もあるし、本当に動かしてくれるかも分からない。だから直接会って、友達になるのが唯一の方法だと思っている。場所貸しもなかなか厳しいが、僕は日本でもうまくやればできると思っている」

古酒氏:「Bitmainも場所貸しをやっている。比率は、8割お客さん、2割自社。1顧客あたりの平均は5000台。5000台くらい出せる人がお客さん」

篠原氏:「ロットが決められているのは、どこもそう。数千万円くらいから受け付けてくれる。だからこれ、ファンドビジネスと似ている」

質問:「自分でマイニングした時の停電などのリスクヘッジを教えて欲しい」

篠原氏:「停電になったら止まる。無停電電源装置、UPSみたいなものを入れるといい。停電してもマイニングできないというだけなので、そこに誰か人がいればいいかな、と。エアコンだけ停電するのが1番困るので、そうならないようにしておけばいい」

古酒氏:「マッキントッシュには、停電して電源が復旧したら、復活するという機能がある。それを踏み台サーバーに使う。GPUマイニングに関しては、一応パソコンなので、ウェイクオンラン、というマックアドレスのLANポートのアドレス、リンクアドレス宛に特定のバイトを送ると電源が起動する。それをバイオスの設定にすることで、停電しても再起動できる。この2つ」

篠原氏:「仮想通貨のマイニングで大事なのは、何を掘るか、どうやって遠隔で管理するのか、そして1番大事なのが盗まれないのか。イーサリアムを盗まれたと言っても、警察は動いてくれない。世界中のサーバーで分散して管理しているので、別に移動されてないと言われたら終わり。後は、全額イーサリアムで持っていました、暴落しましたとならないように自動トレードと組み合わせて、他の仮想通貨で保存しておくということも含めてマイニングだと思っている」

ビットコインは分裂するの?4人によるパネルディスカッション「Bitcoinの未来」

この日のテーマはマイニングだが、藤本氏は「マイニングファームを訪れた動機の1つに、8月1日のビットコイン・ハードフォーク問題もあった」と会の冒頭に話をしていた。

藤本氏はパネルディスカッションの冒頭、「ビットコインの未来の話をしたい。ビットコインが分裂するのかどうかを話したい」と切り出した。

宍戸氏
「Bitmainが世界最大のビットコインの会社。関係者、投資家以外で行ったのは、僕らが初めてだった。ここからブロックサイズの話につながる。ご存知の通り、ビットコインの取引手数料が今、ものすごく高くなっている。気軽に送れない。Bitmainの言い分は、毎秒の取引額が3回くらいしかできない。VISAは3000回できるので、1000分の1のキャパシティしかない。それをみんなが使うので、値段が高くなっている」

篠原氏
「僕の見解は、どちらかが採用されればそれでいい。無茶苦茶な仕様変更は避けるべきだと思っている。そうなったら、ビットコインの価値が失われる。人々が混乱する」
「仮想通貨は、みんなが議論に参加しないなら使わない方がいいといつも言っている。幸か不幸かポケットに紙切れが入っている。僕らはこれに1000円の価値があると思い込んでいる。騙されたままで生きていけるならいいが、騙されたと気付いた人はビットコインなどに来ている。そういう世界に行きたいなら、リスクや問題を理解しないといけない。紙切れで過ごすのが幸せだったら、そうやって過ごしていればいい。仮想通貨の世界に来たい人は、議論して、ある程度理解していないといけない。永遠に議論をしないといけないとしても、議論をしたらいい。そう思っている僕でも、フォークするとか仕様を変えるとなったら、もうわけがわからない。すごい失敗して、大損する人も出ると思う。無茶苦茶な変更で、理解できなくて、分断されて、結果としてコミュニティ内での戦争になるという事態だけは避けたい」

古酒氏
「僕はお二方よりもビットコインを知ったのは後で、ある程度日本の中にビットコインの情報がある時に初めて触れた。ビットコインを金と見るか通貨と見るか。通貨として見るならば、通貨は1つである必要はない。ドル、ユーロ、円、新興国通貨もある。多様性を許す特性があるので、ビットコインが2つに分かれても、通貨として見るならば、人気のある方に支持が集まる。一方、金として見るならば、普遍性に価値がある。金は何かにできないし、何かを金にすることもできない。昔錬金術があったが、(ビットコインのフォークの話は)金を鉛にしてしまうかもしれない。どの選択肢を取ると、金が鉛になってしまうのかは皆さんよく考えた方がいいと思う」

間もなく迎える運命の日。ビットコインユーザーは、何に気をつければいいのだろうか。

宍戸氏
「今から二転三転する可能性もある。取引所がユーザーに案内を出すと思う。日本でもそういう方向で動いている。かなり混乱する可能性が大きいが、日本の場合はちゃんと対応してもらえる。そんなに慌てることはないが、2つに分かれる可能性は非常に高い」

藤本氏
「取引所自体が安全策として、停止することもあり得るかもしれない」

宍戸氏
「最大3日くらいは(取引所が)引き出しを停止する(可能性がある)」

篠原氏
「銀行がゴールデンウィークにATMが停止しますと言ってきたが、ビットコインがしばらく使えませんとなるかもしれない。これはジョークとしては最高(笑)。全世界的にそうなる可能性があるということ」

篠原氏
「僕はエンジニアだから分かるが、バグのないコードなんて書けない。イーサリアムのように人間が作ったものには絶対にバグがあるし、ウォレットアプリ、取引所、ビットコイン自体、新しくできるビットコインのバグ。こういうふうに考えたら、何か起こらないほうがおかしい。何かが起こる前提で考えた方がいい」

宍戸氏
「メディアが『ビットコイン分裂』というタイトルで、『やはり暗号通貨はダメなのか』と。マウントゴックスの時のように、『ビットコイン社長逮捕』みたいに(書くかもしれない)。ビットコイン死す、みたいに。もう200回くらい死んでいるけれど(笑)。ビットコインの値段が上がっていくというのは、現体制にとっては、非常に危険なこと。日本に100万口座くらいある。ビットコインの値段が、50万円とか100万円になると、爆発的にユーザーが増える。僕らの会合にはNHKも取材が入っている」

古酒氏
「僕がビットコインに携わっているのは自動売買。8月1日はトレードをしている人にとってはビッグイベント。どう値動きするのか。非常に頭を使って楽しめるイベントだと思う。そういう目線で楽しんでもらえたらと思う」

篠原氏
「バグが起きて、百鬼夜行みたいに滅茶苦茶ビットコインが増えるかもしれない。リスク覚悟でトレードしまくるのもありだと思う。僕のプライベートのビットコインアドレスを送るので、そこに送りまくって欲しい(笑)」

古酒氏
「僕も受け付けています(笑)」

篠原氏
「昔からビットコインをやっている僕らでもわけが分からなくなるような、まだまだ原始的な世界だ。でもこれこそが非中央集権。ここでサトシ・ナカモトが降臨して、方向性を決めたりはしない。『お前らどうしたい?』というのがサトシ・ナカモトからの永遠の問い。だからこの議論に全員が参加すべき。マイナーもユーザーもトレーダーも、それぞれの立場で意見を表明して、みんなの世界にとって最適な答えを見つけていく。必要であれば分裂をすることもできる。特定の用途に特化した仮想通貨を作ることもできる。分散化社会は答えが1つではない。君たちの行きたい世界に行きなさいと。それぞれが幸せになるように最適化していくことがポイントだと思う。1番もったいないのは傍観すること。この大変革の時代にせっかく生きているのであれば、議論して、プレーヤーとして動くことで、新世界に行けると思う」

次回の「Tokyo Blockchain」は7月27日19時から開催予定だ。篠原氏とSivira Inc.を共同創業したCTOがブロックチェーンの最新トピックについて語ってくれる。「イノベーターたちが出会い、共創的なコラボレーションによって、従来の考え方や価値観を覆すような破壊的イノベーションを創出する場となることを目指してスタート」したこのミートアップ。ピンときた人は、Facebookページで情報をチェックしてみて欲しい。

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