昨日の Apple の発表を受けて、Apple Pay でビットコインはどう変わるのかを考えました。このテーマはビットコイン関係のコミュニティーでも活発に議論されており、インフォグラフィックスも作られています。
要点
Apple Pay の潜在的な市場は
Apple Pay が使える Apple 製品は限られているので、その点を追記しています。要するに、Apple Pay が使える人は非常に限られているというデータです。
一方でビットコインは
- SMS を使ってどんな携帯電話にも送ることができる
- つまり70億人(というか地球人全員)に対して使えるようになる可能性がある
結局どっちの方が可能性が大きいの?
このインフォグラフィックスの言いたいことはよくわかりますが、ちょっと強引だという印象です。SMS でビットコインを送金できる対象が全体というのは言い過ぎかと思いますし、また、ビットコインを入手する環境や使用する環境も考慮されていません。ビットコインを使うことが可能な端末がどれぐらいあるか、という点のみを説明したデータになります。
使えるかどうかと、実際に使うかどうかは全くの別問題です。実際に使ってもらうためには、使いたくなってもらう必要がありますし、そのためには使うメリットを圧倒的にわかりやすく説明する必要があります。
Apple Pay は、クレジットカード登録の流れ、指紋認証を使った本人確認、NFC を使った簡単な決済など、全体がうまく設計されています。また、普及させるためのマーケティングも Apple が得意とするところです。現状では市場規模が小さくても、今後の伸びていく可能性は大きくあります。
アメリカを中心とした、金融、インターネット、流通などのインフラが整っている環境では、Apple Pay が他を圧倒する存在に成り得ます。
重要なのは、ビットコインがどういうポジションを目指していくかという点です。仮に Apple Pay が普及したとしても、ビットコインにはビットコインの良さ、特徴があります。それは Apple Pay の実質的な決済手段となるクレジットカード等では、決して実現できないものです。Apple Pay とビットコインの組み合わせが実現するか、あるいは Apple Pay のライバルとなる Google、eBay(PayPal)、Amazon などの決済サービスがビットコインに対応すれば、ビットコインにとっての追い風になります。
Apple Pay の良さをしばらく享受できない国や地域では、引き続きビットコインに大きなチャンスがあります。特に、人口が多く、金融面のインフラがまだ整っていない場所ではビットコインが果たす役割が多く残されています。Apple がそういった市場を開拓することは考えにくいため、ビットコインに対する期待も高まります。
結論として、決済の手段として考えた場合、Apple Pay にもビットコインにも違った良さ、強みがあり、両者の果たす役割は大きいということがはっきりしました。同時に、従来からあるお金を支払うという行為が、オンライン・実店舗を問わず、革命的に変わっていく可能性に現実味が出てきました。この変化の中心にいるのがビットコインだという認識に変わりはありません。
2015年前半には、実生活の中でこの変化を感じられるようになるのではないでしょうか。
Via Coinapult’s infographic on Bitcoin vs ApplePay : Bitcoin